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2007年07月14日

6月明治神宮 至誠館 館長 稲葉稔氏 講演記録 2

昭和30年代憲法改正の気運が盛り上がりましたが、国内の政治情勢から変えられないことがはっきりしました。政党は自民党と社会党が割れているし、野党はソ連や中国がバックで強い力を持っていました。到底保守だけでは憲法を変えることはできないので、それで憲法を運用する・解釈する方法を工夫することで事態を乗り越えてきました。

今の国内外の状況は、それでは立ち行かなくなってきたのと同時に超大国アメリカの日本に対する要求が変わってきたという国際政治の変化のためです。イギリスと同様に、日本もアメリカの同盟国として強くしたいという意図から日本国への憲法改正が動き始めたのです。

本当の意味で、日本人の意識が高まって改正の気運が盛り上がったとはいえません。日本人の意識が高まって改正されるのであればまだ健全ですが、はっきりいうと、アメリカとその意向を受けた自民党が変えようとしています。アメリカから憲法9条を変えてくれといわれているから改正するという動機です。もちろんその根底には、日本民族の改憲の悲願はあると思います。それに乗るべきか、乗るべきではないのかを健全で独立した精神気概で考えなければなりません。
このように憲法が今まさに変わらんとしている時代です。憲法改正に着手し、少しでも動き始めると、一気に変わってしまう状況といえるでしょう。ですからその心の準備を整えておかねばなりません。
 国際情勢は、ここ3~5年で大きく変わるでしょう。国民投票法ができて3年後に提案可能となりますから雪だるまが転げ落ちて行くように大きく日本が変わっていくようにも思います。
アメリカは軍事大国ですが、アフガニスタン、イラクなどが内乱状態に入り込み、抜け出られない状態です。そちらに足を引っ張られている間にアメリカの状況を北朝鮮が見透かして、核ミサイル保有を進めています。この状態の中で、日本人はどうするか。危機は差し迫ってきています。そんな大きな流れがあります。
民族の直感として歴史上いくつかの危機をのりきった武士道の力を求めているようですが、国際情勢下、日本はどうなっているか、どうすべきか、そういう冷徹なる情勢認識がないとなりません。
知ること、学ぶことはもちろんそうですが、日本人としての、国家としての大きな方向性(目標)を掴まなくてはならないのですが、今はありません。「美しい国にしたい」それだけです。何が美しい国なのかのヴィジョンもありません。美しいとは何か、理念を持てば、方向性が決まり、何をするか、目標を立てられます。目標を立てれば、それを達成する気概というのは目的に応じて、大きくもなるし、小さくもなります。そして目的に向かう力を養い、技を磨くことにもなります。
日本人は、技術力や資金力は持っています。ただ体力や気力が衰えていますし、忍耐力もなくなっていることは心配です。これを養成しなくてはなりません。

広義の意味での武道は、国家全体の安全保障を考えなければなりません。狭い意味での武道なら、一人の敵を考えれば良いけれど、今は広い意味でも考えなければなりません。小さな技であっても、志という思いが根底にないとうまく使えません。心が決まるから、これを実行できる。そのための気概が必要だから気力が養われてきて、それに必要な技術が身についてくるわけです。

投稿者 Master : 2007年07月14日 14:11

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