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2007年04月06日

3月例会記録(1)

■松村三喜男氏

「日本再生のキーワード」
“Culture & Science”(日本文化と科学)

 兄弟が8人おりまして、3番目でございます。親が名前を番号でつけたしだいで、人生で3回喜ぶ男と考えております。生まれは長野県の富士見町です。
 素晴らしい鉄舟21サロンでお話することは恐縮ですが、役目を果たしたいと思います。資料に書きすぎて、とてもこれだけ話す時間がございませんので、端折ってポイントだけお話したいと思います。私の独断と偏見が入っていると思いますが、ご容赦いただければと思います。

資料の解説
 ビッグサイトの展示会に行ったときに、咸臨丸の資料(臨海エリアのフリーマガジン『SEASIDE』)を見つけました。海舟のことを勉強しておりましたので、船の科学館で冊子をもらって参りました。12・13ページ「船の科学館へ“咸臨丸”を見に行こう」にあるように、当時わが国には蒸気軍艦がなく、初の蒸気軍艦として作られたのが咸臨丸です。勝海舟が艦長として大変活躍されたということが書かれております。
茶色の資料「蒸気軍艦“咸臨丸”」これも後でご覧いただければと思います。
 A4サイズの資料「山岡鉄舟を祭る文」(勝安房=勝海舟の親友)は、私が生まれた年月に出版された『最新作文教典』という分厚い本からです。この本は、子供の頃家にあって見た記憶があります。最近たまたま見たら、鉄舟のことが書かれておりましたので、お持ちしました。どれだけ大変な世の中で活躍されたかが書いてあります。あとでご覧いただければと思います。

 カルチャーとサイエンスから、日本の再生を考えてみる、ということを、実際に生活、現場を歩いたこと、少し勉強した中で、皆さんに発表できればいいかなと思います。

竹中さんの講演より
 昨年11月10日に竹中平蔵さんの特別講演があって聞きました。その時言われたことがいくつかありました。世界の金融や経済学は様変わりをしているということを言っておられて、大臣のときにいろいろおやりになったわけですが、金融論者、経済学者、エコノミストの発言は全く参考にならなかった、志のある実務家の話しだけしか役に立たなかった、教育の改革については大学の改革からやらなければとおっしゃっておりました。もうひとつは構造改革を小泉さんから安倍さんと引き継いでやられているわけですが、“改革の戦略は細部に宿る”と、小泉さんは改革をする上では大変緻密な計画を立てて実行してきているのですよ、とおっしゃっていた。竹中さんが最近書かれた本にも載っているのではないかと思うのですが、非常に緻密な計画の上にやってきた結果、それなりに評価されています。小泉さんは改革の情熱・パッションがあり、国民の支持を得、それで、それなりの成果を得たのではないか、という話があったわけでございます。

 藤原正彦さん『国家の品格』を書かれておりますが、御茶ノ水女子大の講演を聞かせていただいたときに、教育について特にいわれたのは、小学生のときの教育が大事だ、週に24時間しかない中ですべてを教えることはとてもできない、まず国語、算数など絞って、徹底して基礎を教えないといけないと話しをされていました。日本の教育は厳しさがないことが、世界の教育と比較して感じることだとおっしゃっておりました。あとでお話しする食育の服部先生も同じことを言われており、厳しさが欠けていると感じるわけでございます。

日本の大学生
 私はバブルのさなかに、オリンパス光学という会社で人事のマネージャーをやっていて、全国の主要な大学を歩きました。そのときに感じたのは、大学生がバブルに浮かれて勉強しなくなったことです。東京大学、信州の大学も機械工学、精密工学の7割8割の学生が、給料が高いからと金融や証券会社に入社しました。東大の教授も日本の将来はないと嘆いていました。
 学生の成績分布がある、成績上位20%はバブルの時代も今の時代も変わっていないと思います。一番困ったことは、中間の人たちが下の方にずっこけて、大学も大学院もレベルが落ちてきていることです。日本の大学は、世界の100に入っているところがひとつもないとおっしゃる先生もいらっしゃる。

 大変景気が良くなったということで、就職も学生が売り手市場になってきて、学生の皆さんが勉強してしっかりした社会人になってくれないと困ります。
 半月ほど前に青山学院大学の石川先生にお話を伺うことがありました。科学技術、世界の国際会議に出て感じることは、最近は日本人が出る幕がない、来ている人も少ないと、石川先生は日本の科学技術教育は破綻したと嘆いておりました。

 大学、大学院のレベルの低下について、大学は高校の教育が悪いと言うし、高校は中学の教育が足りない、中学は小学校の教育が悪いとなってくるわけで、ALL日本無責任国家になってしまったのではないかと感じているわけでございます。

服部先生の講演より
 昨日服部学園の服部先生の食文化についての講演がありました。調理・料理はもちろんですけれど、昨年、服部先生が提案した「食育基本法」がようやく国会で制定されて各学校などが動き出しております。
 世界76カ国の中で、食事をしながらテレビを見ることを容認するのは日本だけ、世界で他にない、テレビを見ながらの食事は食の文化が乱れる、日本の教育を立て直すには、食事のときにテレビを見ることをやめなければいけないとおっしゃっておりました。

 脳の成長は8歳~10歳が最も生育するので、その時期に冒険心とか創造する心とか、教え込まないとだめだということを強調されておりました。毎日いろんな事件が起きておりますが、20年前は今出ているような事件は数件しかなかったが、去年は40件近くなったといいます。新聞やテレビに出ない隠れた事件が10倍はあるようです。5年後には100件、10年後には300件くらいになる、困ったことだというようなことでした。

 昔は少年団など群れの教育がありました。今は地域の社会教育的なものがなくなってきてしまっている。一番の原因は、他人からも親からも注意されることがなく従って免疫がないので、ちょっと注意されると感情的になってしまいます。食の栄養バランスが崩れているのではないかと思います。長野県の上田の方の町長さんが地域の学校の栄養バランスを考えた結果、きれる子供や貧血を起こす子供がなくなった、ということがありまして、素晴らしいデータもありました。注意されないことと栄養のアンバランスが原因ではないかと思います。

 教育の基本は、幼稚園では自分のものと人のものを区別すること、小学校は協調性を、中学校では社会性・国のしくみ、高校生以上は志をいかにもつようにするか、教育の基本でやらないとなりません。

 先生や親に対する尊敬度について、たとえば北京は先生に対しての尊敬度は80%、アメリカ82%、EUでも82、数パーセント、韓国84%に対し、日本は21%です。親に対する尊敬度の世界の平均は83.2%ですが、日本は50%以下です。50%以下というのは国が危なくなる限界だそうでございます。先生に対する尊敬度を71%にするには100年かかり、親に対する尊敬度を50%以上にするには50年かかる、それほど教育は時間がかかるそうです。
 さっきもお話しましたが、教育の現場における優しさ・楽しさ・厳しさという面で、欧米は3つとも揃っていますが、日本には「厳しさ」がありません。
 子供の自立の年齢が日本の場合、昔は20歳でしたが、最近は30歳になってもまだ自立は無理みたい、うかうかすると40歳になっても自立できないという話もございました。
 上下関係がわからなくなっているそうです。挨拶ができない、志が不足している、飽きっぽい、我慢できない、無気力・無責任が子供たち学生たちの実態だそうでございます。

 日本に来た留学生にアンケートを取って尋ねたところ、「日本の印象は」すべての国の留学生が「日本の学生はだらしがない」と言っているそうです。

 食の教育の3つのキーワードは、安心・安全・健康です。正食の進め、食のしつけを家庭・学校・地域社会でやる必要があります。テレビを見ないで食事をするしつけをしないとなりません。次は食のグローバル教育です。

自給率について
 残飯の話が出まして日本は年に2300万トン残飯を捨てています。世界の貧困の状態を見ると、餓死、食べ物がない生活、栄養不良の子供たちがおり、2300万トンを捨てないで世界に生かせば、世界の相当数の人たちを救えます。日本はまず、残飯をなくすことだということでした。結びの言葉は「食の再生は今日から、今から」今の話を一人が5人くらいに広めていけば何とかなるのではないでしょうか。服部先生のポイントをお話させていただきました。

環境について
 元アメリカの副大統領のアル・ゴア氏が「不都合な真実」という本と映画を作られました。素晴らしいことと思います。翻って日本をみたときに、福田元総理が、自分の退職金3億円はたいて京都会議をおはじめになりました。年に3000万円使って、10年くらい続けられるでしょう。世界の人たちを招いて、環境について話し合う場をある程度定着していけるのではないでしょうか。
 ESDという資料をお配り致しましたので、あとでぜひ読んでいただきたいのですが、小泉さんが国連に提案して、取り上げられてESD(持続可能な開発のための教育)、教育の10年としてスタートとなりました。ぜひこの点も知っておいていただきたいことです。日本も提案の責任がありますので、ESDジャパンが日本の展開について話し合う場がありまして私も出てみましたが、皆さんが暗中模索ありますが、それぞれ努力してやっております。
 日本がアジアの諸国、韓国・中国・タイ・フィリピンなどを巻き込んでやっていこうとして動いていることも知っておいていただきたいと思います。

 埼玉県に40数年住んでおりますが、以前所沢でダイオキシンの問題がありまして、知事を先頭にNOダイオキシン運動を展開しました。私も地元の代議士と一緒に活動しまして、その後所沢の焼却炉を取り払いましたが、土壌がどうなっているかは知りません。仲間たちと騒がれた当時、雨水の顕微鏡写真を撮りました。
 ダイオキシンが入っている雨水は結晶になりませんが、最近取った雨水は結晶ができているので、それなりに良くなっているのかなと思います。

 酸性雨の問題もありまして、青森・秋田・山形県の日本海側の木が枯れてきています。長野も一部、感じるところがあります。中国から偏西風に乗って、酸性雨が降ってくるわけでございます。環境問題は、世界が取り組まないと大変なことだな、と思います。
 日本でも福田さんや小泉さんが活動されておりますので、われわれも、一人一人がやっていく必要があると思います。

日本語について
 日本文化の素晴らしさは皆さんも感じていることだと思いますが、藤原正彦さんも日本語を評価しています。
 私の知っている大平さんが、日本語というのが、他の国の言葉と違って8次元でできているという見方がありまして、確かにそうだな、と勉強を始めさせていただいたところです。元素周期一覧表というのがあって、一昨年、文部省が元素周期一覧表を作りまして一家に一枚持つようにしたいと1枚100円で分けてくれます。元素周期一覧表と同じように言葉を次元に分けて考えたのが、日本語だというお話です。中身の話は時間がないので、しませんが、日本語が8次元でできている。こう言う言葉は世界にないということで、また機会があればお話したいと思います。

テクノロジー
 日本の科学技術・先端技術は進んでいます。日本の農業・健康・環境問題にしても日本が一番進んでいます。ナノテクノロジー、今その先のスーパーナノテクノロジーに入ってきているわけですが、ナノテクを、健康のため、町おこしなど、農業の改革、環境とかに利用できると思っております。
 栃木県で“とちおとめ”で残留農薬があることが問題になりましたが、優れた技術を使って、私の仲間たちが農薬を使った場合でも、ある技術を使えば残留農薬がゼロになっている、りんごでもそういう例が富山でも出ています。
 農薬や化学肥料を使わないのがいいのですが、農薬使わないと農家の経営は成り立たないというわけです。
 新しい技術の新しい水ができています。新しい水をつかって、農薬や化学肥料を使わないでも農業ができるといわれており、実績もできています。
 ブルーベリーは農薬使わないで収穫が5倍になります。
 また、ある装置を使って収穫するとお米を反あたり8俵だったのを15俵取れます。農業も今までの農薬や化学肥料を使う農業を変えて、使わない新しい農業に換わっていくのではないか、そうしないと開けていかないのではないかと思います。組織の中できないかもしれないが、テクノロジーがそこまで行っています。
 長野の百姓の例ですが、かぼちゃを作ったことがありますが、かぼちゃは一般的に1本の木に食べられる大きさのものは3個しかならないのですが、新しい水を使うと初年度に80個くらい、2年目は125個とか、3年目は250個とかそういう実績が出ているわけです。

 そういうテクノロジーを使えば、世界で問題になっている食糧、水、環境エネルギーの問題が日本の技術で相当改善できます。持続可能な開発教育、世界のインフラを解決できるのは、日本だろうと思います。


 話が飛んでしまいましたが、今日はありがとうございます。


【事務局の感想】
 松村さんが大変勉強家であることがわかる今回の発表でございました。いくつものテーマがでてきましたので、時間がたりないほどでした。次回には、松村さんの一番関心のあるテーマに絞って発表をしていただきたいと思います。

投稿者 staff : 2007年04月06日 13:35

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