« 国立歴史民俗博物館を見学 | メイン | 「鉄舟の臨機応変」を山本さんが語る 7月例会(2) »

2005年08月04日

シャンソンの魅力を山崎さんが語る 7月例会(1)

●7月の例会記録をご案内いたします。
発表者:山崎さん、山本さん、事務局

1.事務局より
1)「ぬりえ文化」出版記念講演と3周年記念パーティの開催のご案内
8月26日(金)18:00〜21:00、ホテルニューオータニ インターナショナルレストラン 「ガンシップ」において、開催いたします。 出欠の連絡のお願いいたします。

2)第二回山岡鉄舟全国フォーラム(全国大会)
9月11日(日)学士会館(前回と同じ会場)にて開催
小川福太郎氏にゲストスピーカーとして来ていただき、フェリックス・ベアトの写真の秘密を発表いただく。ご期待願いたい。


2.山崎さん発表「シャンソンと私」
 
楽しそうにシャンソンについて語る山崎さん
1)はじめに
今日お話しすることは、普遍的とは言えない私のおしゃべりの世界であることをお断りしておきたい。また、日本人として日本語訳詩で歌うということを大事に考えている。シャンソンは歌詞が命であり、それをお伝えしたいから・・・。

2)音楽との出会い、中断、再開
少女時代から歌は大好きだった。私の子守唄は父の「赤城の子守唄」や「なにわ節」だったが、小さい時から、音楽は何でも好きだった。
中学2年生の時、地元でのNHKのど自慢で「帰れソレント」を歌い、鐘が2つ鳴った。それで自分でもますます歌うのが好きになった。いつも歌っていて周りの人にもよく褒められていた。
高校は工業高校の化学科に進学し、ここでは歌うことが少ない寂しい音楽時代だったと思う。
大学入学後から、女性合唱団、聖歌隊、労音合唱団に加わり、大曲を歌ったり、毎日が歌うことに染まっていた。
その後、出産・育児で合唱団も辞め、歌うことを15〜16年間中断したが、その間は、ラブソングや童謡を子守唄として歌っていた。
やがてカラオケで歌うようになり、数年後には、「大人のためのシャンソン・カンツォーネ教室」で本格的に歌う生活に復帰。

3.シャンソンとの出会いとその後
青春時代、当時は芦野宏、高英男、越地吹雪、岸洋子、ほかシャンソン全盛時代で「銀パリ」もあった。何よりシャンソンを日本に普及させたは石井好子の活躍が欠かせない。その当時設立された日本シャンソン協会は今も続いている。
私のシャンソンとの初めての出会いは学生時代で、友人に教わりながらシャンソンをデュエットで歌ったことである。
長い中断の時期を経て、1988年から舞台芸術学院シャンソン・カンツォーネ教室に入学した。歌い上げることの多いカンツォーネは、学生時代にクラッシックの世界にいたので馴染みやすかったが、シャンソンは、語りの歌なので、私には非常に難しかった。今やっと、語れるようになってきたかな、というところである。
1994年ソロやジョイントコンサート活動スタート
1998年からは毎月のシャンソニエのライブに出演しはじめ、現在に至る。
その他、カウンセラーとしてDVシェルター運営にも関わっている関係から、DV被害者支援のためのチャリティソロコンサートを毎年1回行っている。
    
4.シャンソンの魅力
シャンソンは通説「人生を語る"3分芝居"」と言われ、物語性(人生の様々な況と心の機微を表現)がある。
歌い継がれた長い伝統(時代を語り継ぐ歌、古い歌〜新しい歌)がある。ちなみに有名な「さくらんぼの実のなる頃」は1866年に作られた詩。1871年のパリコミューンの戦いで、ルイーズという看護婦がさくらんぼを持って傷ついた兵を見舞い、そのまま戦場に残って看護しつづけ、彼女自身も戦火に倒れるという出来事があった。その彼女に捧げる詩歌が付け加えられ、やがて歌われるようになったと言われ、今では一番古いシャンソンであるとされている。
これまで、シャンソンの魅力とは何か、と改めて考えてみたことはなかったが、今日のために悩み、考えた結果、キーワードは「多様性」ではないかと気付いた。

テーマ・・・・愛、失恋、再会、戦争、夢・希望、挫折、平和、不倫、浮気、戦争、平和、殺人、死、生きる、自然、望郷、旅  など
登場人物・・男、女、老人、若者、子ども、兵士、夫婦、娼婦、死人、ピエロ、歌うたい、音楽師、農夫、泥棒、詩人、浮浪者  など
登場場所・・フランス以外の国々も舞台(アメリカ、イタリア、ロシアなど)
森、空、海、川、大地、酒場、ホテル、牢獄、戦場、街・雑踏、別荘、橋の下、村、ダムなど
リズム・・・・ワルツ(ジャバ=三拍子が原型)、タンゴ、ボサノバ、サンバ、ブルース、ポップス、バラード、語り など 
歌唱法・・・・スローテンポからビートアップまで、囁きから絶叫まで など
シャンソンアーティスト・・・・多国籍(多民族)である。それぞれの国・民族の文化とシャンソンが生まれたパリを中心としたフランス文化が交じり合い、より陰陽のある深く豊かな世界が形成されているのだと思う。

5.おわりに
歌は愛、わたしの人生のキーワードも"愛"である。
しかし、例えば同じように男女の愛を歌っていても、シャンソンは演歌と違うある種のクールな目、客観性を持っているように感じる。
私にとって、歌うことは自分を生きること(自分と向き合うこと)だと思っている。例えばコンサートなどの選曲では、自分の好きな曲、伝えたい思いが含まれているものなどから選らぶが、そこには自分の価値観や思想性なども含めて自分が現われる。
コンサートアンケートの中に「お客様は歌を聴きながら、それぞれ哲学をしていらっしゃるのだと思う」というコメントがあった。
シャンソンは歌詞が命。だから詞を大事にして、自分なりに思いをこめて歌い、語るときに、お客様も自分の人生になぞらえて聴き、解釈なさっているのだろう。
これからも歌えることに感謝しながら、お客様に喜んで頂けるよう、精進し歌い続けて行きたい。

●事務局の感想
山崎さんにとってのシャンソンを伺うことにより、山崎さんが考えるシャンソンの魅力は多様性であることを知り、多様性があるから深みがあり、より多くの人を魅了していくことが理解できました。歌い手の想いや表現、そして歌われる歌詞を感じながら聴くことは聴き手の人生を豊かにするものだと感じました。

投稿者 Master : 2005年08月04日 17:11

コメント

コメントしてください




保存しますか?