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2006年10月28日

10月例会記録(1)

■ 二見健吉氏

 現代に生きる武士道   
      第7講 武士道の現代への生かし方

現代に生きる武士道を講演させてもらっている。
本日は、武士道を現代に生かす参考事例をお話させていただきたい。

36年間サラリーマンで勤め、今年6月末に定年退職した。
合気道を大学の1年生から始め40年やっている。
山岡鉄舟の春風館(剣道の道場)からお名前をいただき、春風会という名前で合気道を実践している。
合気道をやっていても、道場の中で技を伝えることはできるが、心を伝えることは難しい。
素晴らしい日本の文化を次の世代に伝えたく、40歳のときに『春風』という雑誌を発刊した。

「春風」には、鎌倉の円覚寺を立てられた無学祖元の言葉であり、国を守るという意味がある。
また、春風という字は、優しい、国を守る、の他に、人のために尽くすという意味も持っている。「春風」というのは鉄舟先生の意を継いで、伝えていくには良い名前。

全生庵のお坊様に春風という字を書いていただいて、その文字を雑誌『春風』の表紙に使わせてもらっている。情熱・意欲は続いて、若い人に伝えていこうと思う。


   ▼二見の考えと実践例 
 合気道は、ただ護身術に終わるのではなく、護心道にまで昇華する必要があると考えています。合気道は、武道であり、日本の伝統文化であり、武士道精神を生活で実践できるよう教育(躾・感謝・徳育)をしていきたい。二見の実践例を紹介します。
  
『武士道』は、新渡戸稲造先生が出されたもの。この武士道は、日本の精神の根幹なのではないか。武士道について徳目がある。7つの徳目、徳目の中に17章ある。ひとつの例で言えば、「誠」とは、言ったことを成すことが誠。徳目で理解していても実践しなければならない。
武士道の中に日本人が出ているが、西郷隆盛が一番多く登場する。その西郷隆盛が、おぬしやるな!と思った人が山岡鉄舟。山岡鉄舟について勉強しなければと思って、勉強している。
知識と行いと一致することは陽明学の真髄。陽明学を学んだ西郷隆盛も実践している。
吉田松陰の孫弟子にあたる品川先生を師と仰いで、教えを受けている。


[行動規範]
心を求めること。志を立て、理解し、実践する。次に実践していることを伝える。
理解して実践するだけではなく、次代に伝えることが行動として大事だと自分は思っている。

   1 日本の心、先師の心を求める。 ・・ 立志
   2 求めたものを理解し、実践する。・・ 知行合一
   3 実践した事を、次代に伝える。 ・・ 教育  

  [江戸/明治時代と異なる現代]
   1 地球環境保全を考えねばならなくなった。
地球環境保全を考えなければならない。新渡戸稲造が『武士道』を書いておられた頃は考えなかった。
ソウルオブジャパンではなく、ソウルオブジアース。
日本の宝ではなく、地球の魂であるべきだと考えている。

   2 寺小屋教育時代にあった、師を敬う、親を大事にする躾がなくなった。
師を敬うこと。一騎当千の人物、一人にお会いしたら千人の先生にお会いしたような先生に、求めれば必ず、お会いできる。

  第一 合気道において
今5箇所で合気道を教えているが、合気道では、礼儀を厳しく伝える。

  1 稽古中、「礼」儀を厳しく躾ける    「礼」
  2 稽古後、春風会の四弘誓願を斉唱   「義」・・ モラルを守る
     私は先に挨拶をします     私はきちんと背骨を伸ばします 
     私はきちんと履物を揃えます     「礼」「勇]
     私は約束を守り、徳を施します。 「誠」・・約束を守る
これは、稽古のあとに復唱している。
  3 小学生に対し、日本の伝記漫画の貸出 
  4 14才に対し 立志式の企画実施 「正義の道理」
  5 感謝の気持ちを高揚させる為、   「仁」・・武士の情け
     十円「日供」とその奉納。 社会福祉  交通遺児基金
生徒さんには稽古に来ることができるのは、経済面、両親の健康、などいろんな事情が良くて来ることができていると伝える。その皆さんのおかげという気持ちで10円を社会福祉に奉納。

  第二 会社において       「勇」
  1 師友読書会の開催 月一回 「道元」・「大いなるものへの信頼」
  2 東海道クリーン作戦の実施 年九回。落ちているゴミを拾う。
  第三 地球環境ボランティア 
忠義というと国という単位になるが、今は地球に対する忠義ではないか。


1 内蒙古の沙漠植林に参加 
日本から一番近い砂漠・内蒙古ホルチンで砂漠植林をさせていただいている。皆さんからいただいたお金6万円くらいを砂漠の植林に寄付したら、ホルチン砂漠の小学校に運動場ができた。
  2 静岡県中伊豆における植林    
  3 烏雲物語を地元小学校に寄贈  「忠義」
  4 読後感想文の募集と表彰。   「勇」
『烏雲物語』、この本を子供たちに読んでもらいたくて学校に寄贈した。
本当に読んでもらわないと困るので感想文を募集したら、30人~40人の人が応募してくれた。今年5回目を開催します。
  5 ネパール植林への支援 師友読書会の会費 全額を寄付。
  6 荒れたみかん山を蘇生するボランティア参加

  第四 その他
  1 山岡鉄舟研究会で、武士道の源を考える。
  2 「仏国土をつくろう会」 の運動方針に賛成
     1) 延命十句観音経の写経 
     2) 十円日供運動の実践 ・・インドの学校教育 病院に寄付
  3 「無財の七施」の実践
    私は、「無財の七施」を名刺大にして、真民さんの「念ずれば花ひらく」と一緒にして,縁ある方に配賦させて戴いている。
人に親切すると帰ってくる。お金をかけずにできることはある。地球は運命共同体。

    春風会 実践事項    
      無財の七施(むざいのしちせ)
眼 施(やさしい眼をして人に接する) 
和顔施(ほほえみある顔で人に接する)
  言辞施(親切な言葉で人に接する)
身 施(礼儀正しく人に接する)
  心 施(感謝の心をもって人に接する) 
牀座施(席を人に譲ること)
  房舎施(気持ちよいもてなしをする)              
  4 「地球は家族、運命共同体」   身の丈に応じた寄附  「仁」
    日本ユニセフ  難民を助ける会  
    日本キリスト教海外医療 地震等のさいの被災地への義援金

  ▼徳を天に積む  お返し
 天国に、「徳」という無形の貯金を積んでおくこと、これを積徳といいます。すると必ず「善」という無形の利息が返ってきます。
 「徳」は、先述したことの一つ一つです。例 挨拶 履物を揃える 掃除
 善因善果(善いことをすると善いことが返ってきます)。逆に悪いことにも同じようにいえます。悪因悪果です。これをまとめて仏教では因果応報といいます。
 十円の寄付と百万円の寄付は、人間界では差がある。しかし天界では、同じ価値である。
 「ツイて いること」を感謝し、それで終わらしたら、それで終わりです。
 大事なことは、感謝を具体的な実践でもって他に奉仕する。言葉を変えていえば、お返しする。恩返しをする。そのお返しは、人間界では、大小がある。例 ゴミ拾い、学校を建てる。しかし天界では、同じ価値である。
 私は、昨年の十一月十三日(父の逝去)から、今年十月現在まで、
 「ツイて いる 有り難い」思う日々が続いています。感謝。感謝です。

 私の使命は、合気道という宝を磨き、「稽古作徳」「人造り 国造り」です。
   私の武士道は、 「The Soul of Japan 」(新渡戸稲造)でなく
    徳及び地球環境をも考えた 「The Soul of the Earth」 です。 
「春風」誌の役割  二度と無い人生を 勇気と感謝で生きる為のヒントの提供
     日本の先師の紹介・二見自身の実践事例の紹介 

今日徳島から帰ってきた。『烏雲物語』を読んでもらいたくで、300冊寄贈をしようと思ったら、絶版だった。退職金の中から100万円預けるから再販してほしいと出版社へ情熱で頼んだら。とりあえず500冊再販してもらえた。
そのお礼のために徳島に行った。徳島県の博物館に山岡鉄舟の書があると教えていただき、見せていただいた。次の『春風』に掲載します。
最初にベートーベンを演奏したのは徳島県で大正6年だそうだ。
ドイツの俘虜が徳島に集まっていた。
『烏雲物語』から発生して、いろんな出会いがあり、天が私を助けてくれていると感じた。

生きている感じがしない。生かされているという感じである。
『春風』誌は二度とない人生を勇気と感謝の小さな種を撒くことを提供するための本。自分の体験を書きながら発行して、この世を素晴らしい国にしたい。それが武士道かと思う。鉄舟会や会社、いろんなところでお話しをさせてもらっている。この社会をよくする一滴になればと思っている。
  
                                  

【事務局の感想】
今回は第7講として、二見さんご自身が武士道を日々の生活にどう活かしておられるかをお話しいただきました。武士道の精神を実際に実践しておられる二見さんのお話には迫力があり、まさに「言うは易し、行うは難し」を地でいく素晴らしいものです。そう簡単には真似できません。このようなすごい方がメンバーでいてくださることを誇りに思います。


投稿者 staff : 2006年10月28日 13:10

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