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2006年06月22日

6月例会の感想

鉄舟の子ども時代

入梅のジメッとした季節ですが、鉄舟例会はカラッと盛大に行われました。
このところ、鉄舟サロンに初参加の方が多くいらっしゃるようになりました。5月は1名、そして6月はなんと4名。皆さんこのホームページをご覧になって参加されたそうです。いや嬉しい。
これをご覧になられているあなたも一度鉄舟サロンにいらしてみませんか?驚くほどアカデミックで、かつ柔らかいという、とても奥の深い会ですので。

さて、今回の発表は矢澤氏の「日本の西洋美術談義」と、山本氏の「鉄舟の子ども時代から考える」でした。

060621_01.JPGまずは矢澤氏の発表。近世以降、洋画がどのように日本に輸入されてきたのかから、明治期に入っての洋画の創始者の登場、そして、日本美術の素晴らしさを「発見」したのは外国人であったことなどを解説していただきました。

矢澤氏の発表は、10ページ+表3枚に及ぶ資料で、詳細な解説文と図版による絵画紹介、そして矢澤氏の豊かな知識に圧倒されました。
その中で、特に、日本美術の優秀性を発見し、日本の伝統美術復興に大きく寄与したフェノロサについて多くの時間を割いて解説いただきました。フェノロサは来日したとき「日本人が日本美術を大切にしていない」とに大きなショックを受けたといいます。そして、彼は日本美術の復興に邁進したのです。
芸術にしろ科学技術にしろ、世界で高い評価を受けるものや人は、海外に出ないとその価値が認められないような傾向が、現在でもあるのではないかと思います。私たちがこの国の伝統や芸術の価値を正しく理解し、伝えていく必要があるのは今も同じことだと思います。

060621_02.JPG続いては山本氏の発表でした。今回は鉄舟の子ども時代についてのお話でした。鉄舟の子ども時代、母親から受けた影響についてエピソードを交えながら解説していただきました。
人の価値判断の基準は、自己の原体験に基づきます。原体験とは、親の教育であり、育った環境です。生まれてから今までの体験が、その人の判断基準を創っているということです。
自閉症が初めてアメリカで発表されたとき、ちょうどテレビが登場して10数年が経過していたのと合致しており、テレビの普及との関連が言われているそうです。テレビは一方通行、つまりインプット一辺倒の情報入力をするものです。子どもの頃からこれに慣れていると、社会的に共通の判断基準に比重が偏ってしまい、一人ひとりそれぞれの親や環境に基づく基準が薄れているため、実際の社会で個別の問題にぶちあたったとき、それに対処できなくなっているのではないかと、山本氏はおっしゃいます。

その昔、昭和30年代生まれの若者は、無気力、無関心、無責任の「三無主義」の世代といわれました。その後の世代は「新人類」、そのまた後の世代、つまり今の若者は「ニート」と呼ばれる、働かない世代です。そして、彼らニート世代の親の世代が「三無主義」の世代の人々と合致します。
鉄舟の偉大な人間像を形作った、子ども時代の母親や周りの環境から受けた影響=原体験を学びながら、今の若者世代の原体験とはどんなものなのかを考えることも大事なことなのではないかと感じた例会でした。

(田中達也)

投稿者 lefthand : 2006年06月22日 13:14

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