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2010年01月26日

2010年1月例会報告

山岡鉄舟研究会 例会の感想
2010年1月20日(水)
「気数に関すと対仏断行の決断」
山岡鉄舟研究会会長/山岡鉄舟研究家 山本紀久雄氏

山本会長の発表は、「気数に関すと対仏断行の決断」と題し、一刀正伝無刀流の極意である「切落し」から、勝海舟が行った政治的決断をお話しいただきました。

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前回、山本会長から、鉄舟がまとめた「一刀正伝無刀流極意」について解説いただきました。その中の「切落之事(きりおとしのこと)」について、前回の感想でこのように記しました。

切落しが教えてくれること。
それは、逃げない、ということ。
人生の中で壁にぶち当たったとき、そこから逃げるのではなく、真正面から自分の力で立ち向かうことだ。

切落しはまさに人生訓であり、ピンチを捉えそれを成功へと導く勝利への方程式であるのです。
しかし、むやみやたらに使ってよいものではないと、山本会長は語ります。
それは、勝海舟が陸軍総裁に抜擢されたときの政治活動にあらわれているのです。

気数に関す

これは、海舟が言った言葉です。
海舟は、鳥羽伏見の戦いに敗れ江戸に逃げ戻ってきた慶喜の任命で陸軍総裁に就任しました。就任直後の幕閣会議で、主戦論が主流を占める陸軍の閣僚たちを前に、こう言ったそうです。
「およそ興廃存亡は、気数に関す。また人力の能くすべき所にあらず、今もし戦に決せば、上下一死を期すのみ」
このとき幕府の軍勢は官軍を上回っており、数の上では優勢でした。しかし、幕府の存亡は、時の趨勢が味方をしないだろう、ここで戦を起こせば全滅するだろう、ということを述べたのです。ここに、時代の流れを掴んだ海舟の鋭い洞察力があります。

対仏断行の決断

陸軍総裁就任3日後、フランス軍事顧問団のひとりが海舟に会いに来ました。主戦論を主張するためです。しかし、海舟は逆に、ロッシュの所に出向き、フランス軍事顧問団の解雇を申し渡しました。これは、海舟がフランスに対し行った事実上の離縁通達でした。これによってイギリスはフランスと対抗し日本への利権を奪い合う必要がなくなり、海舟にとってはイギリスを幕・官の仲介者としての役回りに変化させ、講話の道へと前進せしめたのです。
後にその実行役として鉄舟が駿府駆けをするに至る、その舞台を用意したのです。

海舟の判断ポイントは、時流を機敏に読み、流れに沿った「切落し」行動を起こしたこと。いくら切落しが重要でも、時代に逆らう切落しは有効とならない。時流を掴むことが重要で、時流を掴みその流れに乗った切落しでなければならない。海舟はそのことを教えてくれるのです。そして、海舟のこの行動は、後に来る「政権交代」への布石となったのです。

現代もまた、時代が大きく変化する流れの渦中にあります。その中で、昨年政権が交代したということは、抗えない時代の流れがそこにあったように思います。そのことを、鉄舟が生きた百数十年前を通じて学び、私たちの生き方を考えることは、大変意義のあることです。
明治維新と同じように政権交代を果たした日本は、今後どのように進んでいくのでしょうか。そのことを、鉄舟を通じて学びたいと思います。

山本会長の研究は続きます。
来月の山岡鉄舟研究会も、是非ともご期待ください。

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2月は2010年2月17日(水)18:30〜東京文化会館 中会議室2です。
皆様のご参加をお待ち申し上げます。

(事務局 田中達也・記)

投稿者 lefthand : 2010年01月26日 11:57

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